G2DOKKA-WANDERLUST

ドイツ発。親子3人車中泊放浪旅のキロク

日本ードイツ大陸横断_㉖キルギスの山の中


9/11 ビシュケクから「ソン・コル」という3000mぐらいの山中にある
幻の湖に向けて出発。


地図上ではそんなに遠くないんだけど、行ってみてびっくり。

なんとこの国94%は山から成っていて、どこに行くにも山を越えて

いかなきゃならない。

その数や高さはもう忘れたけど、2000mはある山を登っては下りを繰り返し、

1日で着けると思ってた所が、結局4日もかかってしまった。

山で出来た国だから、山に道路を通すのは当たり前で、3000m超えても

まだまだ道は続く。

国の北側と南側を通す山道は、冬の間は雪で通れないんだそう。

雪がなくても、簡単とはいえない山道なので、人の行き来がそう頻繁ではなく、

首都がある北側と山の反対南側では、文化も町並みも違うように感じた。

南側はなんというか、まだ開発されていない感じ。

でも、そのままでいいと思う。

ソンコルに着く手前の村では、牛飼いの若い一家に招かれ、

お昼ご飯をご馳走になった。

ショルポといううどんのようなキルギスの伝統料理、美味しかったなぁ。

こっちの人は写真に撮られるのが大好きみたいで、家族や子供の写真を何枚もとった。





ソンコルに近づくにつれ、山が険しくなってくる。

途中鉱山があり、空気がすごく悪くなったり川の水が泥水になったりするところが
あったけど、3000m付近で森林限界も超え一気に草原のような景色に変わる。

この草原を利用して、夏の間羊や牛を飼っている遊牧民がユルタ(キルギスのゲル)を
立てて生活している。



そんな風景を通り過ぎながら、ようやく目の前に広がったソンコル。
言葉で表現できるような風景ではない。

こんなところになんでまた湖があるのか、なんでこんなところに
自分が居るのかも不思議でならなかった。




湖のほとりでは、ユルタに泊まれる家族経営のゲストハウスを発見。

山の上で風もかなり強かったので、今日はここに泊まることにした。

一人1泊5ドル。
この旅に来て、宿泊施設に泊まるのはその日が初めてだった。


ユルタ内はまさに夢のような空間。

中にはちゃんと薪ストーブもあって、全然寒くない。

むしろ暑いぐらい。

床や壁面は、キルギス伝統の敷物や壁掛けがびっしり敷き詰められていて

その色も、模様もとにかくすばらしい。

そして、なんといっても丸い!

丸いものの中にいると、幸せな気持ちになるのはなぜだろう。

角がない暮らしっていいだろうな~。

最高に居心地がいいので出るに出れず、ゴロゴロしながら

もし自分がユルタに住んだら家具の配置をどうするかとかを、

ずーっと考えていたらあっという間に日が暮れてしまった。


ユルタが欲しい。10万円だって!

どうしよう。。。



そして、ここにもいましたドイツ人。
久々に出合った旅人と、色々情報交換が出来てよかった。

夕食は食堂があるユルタで、魚を食べる。
ここに来て魚を食べれるとは思わなかった。
湖の近くだから当然か。。。

夕食が済みみんなで色々話をしていると、この一家のお婆ちゃんが歌を
歌いだした。

それにあわせて隣に座っていた娘と義理の兄も歌いだした。
多分民謡のようなものなんだろう。
どこかチャイニーズで、どこかアラビックな旋律。
美しく優しい歌だった。


今度はドイツ人の番。
そこに居合わせたドイツ語圏の人間5人が共通で歌える曲がなかなかなくて、
それでも何かみんなで歌い始めたけどもうグダグダで、なんかせっかくの雰囲気が
台無しになった。

気を取り直して、またキルギス人の番。

これまた素晴らしい歌で場を持ち直した。

お次は私、日本人の番。

だけど、困ったことに私も歌詞を通して覚えてる曲が見当たらない。

サザエさんの、お魚くわえたドラ猫しか思いつかない。

これを歌ってまた雰囲気をぶち壊したら相当気まずいと思ったので

歌わなかった。

だけど寝る前に、サザエさんでもドラえもんでも歌っておけばよかったと
ものすごーく後悔した。

人間、物事を行い失敗した後悔よりも、行わなかった方がよっぽど

悔やまれるとは良く言ったものだ。

次の日ほぼ一日中、日本の歌ってなんだろうって考えてた。

キルギスでは親から子へ、孫の代まで一緒になって歌える歌が
今も家族の中でちゃんと受け継がれている。

日本にそんな歌ってあったっけ?



翌朝、出発する前に馬に乗って一人でその辺をぶらついた。
湖を眺め、草原で馬に乗ってる自分。

夢でも見ているような、不思議な気持ちになる。


泣く泣くユルタホテルを出発し、山を下りオシュと言う街にむかう。

これもまた1日ぐらいで着くんじゃないかと思ったら、3日かかってしまった。

とにかく山なんだな。

ずーっと山。

でもその景色は本当にスバラシイ。



原始時代にドリップしたみたい。

マンモスの大群が遠くから走ってきたり、鼻に骨を通してデカイ肉の塊を
食いちぎってる原始人がウホウホ言って近づいてきそうな、
そんなことがあってもおかしくないような所。




夕方になって川沿いで寝床を見つけて焚き火の前に座り
そんな古の大地を眺めながら、なんとなく出てきた歌

何にもない 何にもない 全く何にもない・・・・

はじめ人間ギャートルズの歌。

なぜかこの歌が最初から最後まで歌えた。1番だけ。

星が一つ暗い宇宙に生まれて

何にもない大地に ただ風が吹く

自分たちが今まさに、そのままの世界の中にいた。

一番星が一番に輝いていて、その他にはなんにも無かった。

これからなにかあったら、この歌を歌おうと思う。


・・・・・お伝えのとおり、山岳国家なので電波状況がよろしくなく
ブログもかなり遅れているんですが、今日今現在タジキスタン
国境にいまして、明日タジキスタンに入国します。
ここもすでにその一部なんだけど、パミールハイウェイという今回の
旅の山場に突入します。4000mの所に車道がありまわりは7000m級の
山に囲まれた、世界の屋根と呼ばれる場所です。
2週間ぐらいは音信普通になると思います。

キルギスの続きもまだまだたくさん面白いことがありました。
続きは後ほど。10月ごろ。
ではでは行ってきます!!