2020年東欧トルコ車中泊の旅_⑭カチカル山トレッキングその1
カチカル山の麓に着いたのは、夕方だった。
道端に車を停め、この日はここで車中泊。
長い一日になるであろう明日に備えて、軽く食事して早々に就寝。
翌日。
山の入り口にある集落に向かい、いよいよ登山開始。
下界はとんでもない暑さだろうけど、山の上はスカッと青空が広がり
山登りには絶好のお天気。
登りはじめの地点は2130m。
昨日車で来た時は気付かなかったけど、けっこう標高高いところ
だったのね。
カチカル山はトルコ北部、北アナトリア山脈にある山の最高峰で
高さは3942m。
富士山より200mぐらい高い山だけど、だいたい4合目ぐらいから登り
途中のベースキャンプで標高差に慣れてから、頂上を目指す行程。
と言うことで1日目、目指すは2860mのベースキャンプ。
行ってみよう!!
登り道。
綺麗な小川が流れる谷の合間の一本道を、どこまでも歩く。
とてもなだらかな道で、山登りとういうより山歩きというか
お弁当片手にぶらぶら来れるような所。
とにかく、お気楽、楽園登山。
綺麗な山の湧水の給水所が所々にあって、いつも美味しいお水で
一息つくことができた。
途中1か所だけ、どうしても靴を脱がないと渡れない川に遭遇。
この水が雪解けの冷たーーーーい水で、渡る間十数秒でも足が痛くなるほど
冷たかった。
馬に沢山の荷物を載せて、下山していたおじさんに出くわす。
リュックサックとかウレタンマットが積んであったので、登山客の
荷物を運んでいたんだろう。
そしてこの後1時間ぐらいしてから、荷物を持たず下山してきた
5,6人のおじさんグループにも遭遇した。
ここまではハイキングの延長気分で来ていたのだけど
この先は馬に荷物を持たせるほど難所があったりするのだろうか。
少々の不安を胸に、私達はその先をグングン目指した。
風景はどこまでも天国のようなのだが、3時間ぐらい登ったあたりから
斜面の角度がだんだんきつくなってきて、息が上がりだした。
後から思えば、すでに2500mは超えている地点だったので
軽い酸欠だったんだと思う。
それまで軽かった足取りも、だんだんと重くなってゆき
最後の500mで2時間ぐらいはかかった。
私ってこんな体力なかったっけ?
こんなにバテバテの自分、ちょっとショックだった。
ともあれ、ヘロヘロながらもたどり着いたベースキャンプ。
このキャンプを管理してるおじさんもいて、着いてさっそく
お茶とお菓子を用意してくれた。
他の登山客もちらほらいたけど、夏休み中の山にしては
人が少ないという印象。
やはりコロナで、例年より全然少ないと管理人のおじさんは言っていた。
ベースキャンプはもうすでに、森林限界をむかえる険しい山に囲まれていた。
ここから直にカチカル山は見えないのだが、聞くところによると
頂上までの往復、大人の足で6,7時間かかると言われた。
そこに6歳児が加わるわけだから、多くて10時間ぐらい見て居たほうが
よさそうということで、明朝7時には出発しようということになった。
その日の夜。
あれだけ体力を使い、あれだけ疲れ果てていたにもかかわらず
私は良く眠れなかった。
高山病の症状だったのだろう。
翌朝はもう憂鬱でならなかった。
丸一日山歩きをする体力も気力もなかったので、私だけ
ここから200m上にある湖まで行って、登頂は夫と息子だけで
行ってもらうことにした。
天気は良好。
荷物もテントに残し、最大限身軽にして出発。
しかし、出発してものの20分のところから、また斜面がグンと急になり
すでに息が上がり始める私。
こんな弱っちかったっけと、自分を責める気持ちにもなりかけたが
それもそのはず、3000mも間近ともなれば酸素も薄くなるはず。
明らかな酸欠。
メンズ二人はモリモリ登る。
足元が悪く、ガタガタで岩だらけの所を手を使いながら登ってゆく
山道。
特に息子にとっては、遊び場でしかない。
もうホントに、猿のように登ってゆく。
子供の足で10時間と言ったオジサンに、この姿を見せてやりたかった。
そして何よりも足手まといになるのは、他ならぬこの私だった。
結局その湖に辿り着くまで2時間近くかかってしまった。
ここまで来れて、私は大満足。
しばらく休んだ後、その先を目指す男達を見送り
私も一人、ベースキャンプに戻ることにした。
そして、下りはなんと40分。
テントに再び戻り、少し眠った後、これから6時間
一人で何しようなんて考えながら、とりあえず本でも読んで
時間を潰すことにした。
3時間程経った頃、息子がママ――と叫ぶ声が聞こえた。
空耳かと思ったが、子供の駆け足の音も段々近づいてくる。
外をのぞいたら、なんと息子が駆け寄って来ていた。
話を聞くと、頂上まで300mのところまで行ったのだけど
足元が悪すぎて、息子が恐れをなし引き返してきたらしい。
体力的には全然いけたらしく、6時間山を歩いたあとでも
まだまだ遊び足りない様子の息子。
その相手をするのが、けっこうしんどかったり。。。。
もう一晩ここで過ごし、翌日下山。
キャンプも、その周りもとても綺麗で居心地がいいところだったので
食料さえ持っていれば、あと3日ぐらい居ても良かったけど
なくなくテントを片づけた。
パート2に続く