G2DOKKA-WANDERLUST

ドイツ発。親子3人車中泊放浪旅のキロク

日本ードイツ大陸横断㊽アゼルバイジャン

BAKUに到着し、路肩にクルマを停めて青年を待つが、一向に来る気配がない。

結局1時間以上待って、電話をしたら5分でやってきた。
何かあったのかな?

夜も8時を周り、疲れていたので、彼のお家に行ってお茶でも頂いて
寝かせてもらおうと思ってたんだけど、今から街を案内すると言い出した。

せっかくなので、じゃあ。。。という事になり、一緒に来た友達の
ピカピカのパジェロに乗り、夜のBAKUを案内してもらった。
 
街中には、これと言って見所なんかないんだけど、
BAKU出身の彼らにとっては、まさにオイルマネーでここまで洗練された
大都会になったことこそが自慢。

 「ここがメトロの駅」「ここが劇場」「ここが映画館」と、はっきり言って
どうでもいい所に連れて行かれ、最後にとっておきの「夜景」が見えるという
丘に連れて行かれた。

カスピ海沿いにあるBAKUは湾岸の大都会で、確かにそのネオンとかは
綺麗だけど、ニューヨークの夜景が100万ドルなら、東京のそれは50万ドルぐらいで、だとすれば、ここBAKUの夜景は10万ぐらいかなーってぐらい、
残念ながら中途半端で「見たら泣く」といわれる程では決してなかった。

ここがクライマックスと思いきや、他にもまだ連れ回したい場所があるみたいで。

だけど10時近くになっていたので、お家に行って休みましょうと提案する。

ではその前にちょっとケバブ屋に行ってみようとか、他に見たいものは無いとか
色々聞いてくる。

なんか、おかしいぞ。。。
 
結局数分後に分かったのは、泊めてくれるはずの彼のお家のお母さんに
ダメと言われたということだった。

朝からそれは分かっていたらしいけど、ヘンな見栄を張って断れなかったらしい。

結局私たちが来ちゃったもんだから、他に泊めてくれる友達やらを探すのに時間が
掛かっていて、その時間稼ぎの夜観光だったのだ。

すっかり意気消沈気味で、目も合わせられなくなってしまった彼だったけど、
その好意は受け取るからどうか気にしないでと言って、夜のBAKUを後にした。
 
「仕方ないよね、そういうこともあるさ」
 
予定外だったけど寝床探しが始まったときは、どこかその辺で車を停めて
あったかいコーヒーでも飲んでゆっくり休もうという感じの空気だったんだけど、
電灯のない夜道をいくら彷徨っても場所が見つからず、
やっと見つけたところには人がやって来てここはダメだと言われ、
しかもまたもや夜の渋滞にはまったりして、気分は最悪になり本音がポロリ。

「あの、くそボンボンめがぁぁぁ」

ごめん、気が立ち過ぎた。
だけどね、あやつの見栄のために巻き込まれたあげく、こんなで、
腹立つったらなかった。

結局深夜2時近くになり、ようやく見つけた場所は泥沼の山の中腹。
言うまでもなく、無言で就寝。
 
翌日、気分を持ち直してまたBAKUへ向かう。
そして携帯のシムカードを買って、とっとと街から去る予定だった。
マーカスが携帯屋さんだと思って入った店が、実は車のアクセサリーを
扱うお店だったんだけど、英語が話せるオーナがいたので携帯やネット関係の
事を色々相談する。

その間、車を泊めていた場所が野良電波を拾える所だったので、
久々に家族とスカイプをする。

毎度の事ながら、車の中から日本にいる家族とタダで話せるなんて、
その仕組みは未だに良くわからないけど、とにかくスゴイなーって思う。
 
夕方になって車屋のオフィスも閉まり、私たちも用事を済まし出発して5分ぐらい
たったその時、マーカスの電話が鳴った。

さっきの車屋さんからで、食事のお誘いだった。

元いた場所に戻って、彼の車に乗り換えて、住まいのある近くの街へ向かう。

車屋さんは仕事を終え家の近くまで帰ったんだけど、
「なんで俺は彼らを誘わなかったんだろう」
と、不意に思ってしまったらしく、わざわざ戻って電話をかけてきてくれたのだ。
 
街の中心部から車で20分ぐらいの集合住宅に彼ら一家は住んでいた。

その道の途中には結婚式場が何十件とあった。
アゼルバイジャンの結婚式は、とにかく派手に壮大に挙げるらしく、
どれだけ沢山の人が呼べるかが重要らしい。

200人も呼べない式は結婚式じゃないと言っていた。
そして、でっかい会場がいくらあっても足りないらしい。
 
今郊外に家を建てている最中という彼は、仮の住まいでお嫁さんの実家に
住んでいると言っていた。

そのお嫁さんの弟は客室乗務員で英語がペラペラだった。

テーブルにはすでにご馳走が用意されていて、お風呂も用意してくれて、
お酒まで買いに出かけてくれたりと、これまた至れり尽くせりだった。

そして有難いことに泊まらせて頂き、昨日のあの怒りはすっかりどこかへと
飛んで行ってしまった。
 
翌日はBAKUを出発し、「ヒナリック」という北部の山の方に行ってみることにする。